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[ Scene 1 ]
[ Scene 2 ]
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episode1 魔導の少女scene2 ビックブリッジの死闘世界の崩壊により、孤島の国となってしまったドマが、国家として再興した後、まず始めに行った国家事業は、 大陸との連絡を円滑に行える為に、蛇の道とドマ城を繋ぐ橋を掛ける事だった。 ドマ国王ルウの指揮の下、橋の工事は進み、わずか二年の月日で、ドマと蛇の道を繋ぐ橋は完成する。 港町ニケアとの陸路が繋がった事により、ドマの復興と発展は加速度を増した。 人々は様々な想いと親しみを込め、この橋の事をこう呼ぶ。 「ビックブリッジ」と…… ドマ兵士「確かに、ルウ陛下直筆の通行許可証だな。通っていいぞ。」 ウォルフ「サンキュー。お勤めご苦労さん。」 ウォルフとクララは、ビックブリッジの中間地点に設けられている、関所で検問を受けていた。 港町ニケア並びに、蛇の道はドマ国領ではない為、 ビッグブリッジ出入り口と中間点には、この様に人や物の出入りをチェックする関所が設けられている。 とはいえ、通行にはそれほど厳しいチェックも無く、 許可もよっぽどの犯罪者でもない限りは、三日から遅くとも一週間もあれば降りるのだが、 ウォルフとクララは、一刻も早く魔導共和国へと向かう為に、国王直筆の通行許可証を発行してもらい、 ドマ城で一晩休息した後、すぐにドマを出る事にしたのだった。 クララ 「ウォルフって、王様とお知り合いだなんて、凄い人だったんですね。」 ウォルフ「いや、俺なんか何にも凄くないよ。俺の親父と母さんがたまたま、 カイエンのおじさんと知り合いで、俺は親父にくっついてよく遊びに来ていたから、 それで知り合いになれただけさ。」 クララ 「それでも十分に凄いです……」 ウォルフ「そ、そう言われると照れるな。ははっ、あははっ。」 クララ 「ウォルフのお父さんとお母さんって、どんな人なんですか?」 ウォルフ「うちの親父は泥棒で、母さんは共和国の将軍なんだ。」 クララ 「泥棒と将軍?」 ウォルフ「これだけの説明じゃ、何だか分からないよな。 比べられるからあんまり言いたくないんだけど、ロックとセリスって知ってるかな?」 クララ 「あのケフカを倒した、英雄のうちの二人の事ですか?」 ウォルフ「そう。その二人の息子が俺なんだ。」 クララ 「そうでしたか…… でも、昨日、私を助けてくれたウォルフは、英雄の子供じゃありません。 ウォルフが私を助けてくれたんです。」 ウォルフ「ありがとう、クララ。 あっ、でも親父と母さんの事を嫌いとか、プレッシャーを感じているとかって事はないんだ。」 クララ 「お父さんとお母さんの事、大好きなんですね。」 ウォルフ「へへっ、まあね。ついでに、あともうひと……」 ドマ兵士「賊だぁー! 蛇の牙が出たぞー!」 クララ 「蛇の牙?」 ウォルフ「ニケアとドマの商隊を狙う盗賊団だ! でも、ビックブリッジに現れるなんて聞いた事ないぞ! ビックブリッジの警備体制は完璧なはずだろ?」 ドマ兵士「近々大規模なモンスターの討伐があるって事で、ビックブリッジの警備人員が割かれたんだ! そこをつけこまれたんだろ!」 ウォルフ「くそっ! クララ、行くぞっ!」 ドマ兵士「こらっ! どこに行く! そっちは危険だ!」 ウォルフ「ドマに戻るのも、ニケアに進むのも距離的には同じだ。 だったら先に進んだ方がいいに決まってる! このチョコボ借りてくぞ。」 ドマ兵士「ま、待て〜!」 ウォルフとクララは、関所の連絡用チョコボに乗って、ビックブリッジを駆け抜ける。 盗賊A 「ガストラの娘がいたぞーっ! チョコボに乗って逃げるつもりだ!」 ウォルフ「なっ! 奴等の狙いはクララなのか。」 クララ 「ウォルフ……」 ウォルフ「心配そうな顔すんなって、俺が必ず守るって約束しただろ。」 クララ 「はい。」 ウォルフ「よしっ! しっかりつかまってなよ。」 盗賊A 「逃がすかよ!」 ウォルフ「邪魔すんなっての!」 ウォルフはエンハンスソードを振るって、追いすがる盗賊とモンスター達を蹴散らしていく。 盗賊B 「くそっ! このガキやりやがる…… 誰かお頭に知らせて来いっ!」 ウォルフ「勝手に知らせて来いっ! 俺達はさっさと逃げさせてもらう!」 盗賊B 「ぎゃーっ!」 クララ 「ウォルフ、前から危険な力を感じます。」 ウォルフ「だけど今更引き返すわけにもいかない。」 グオーーーッ。 ウォルフ「うわっ! あぶねっ!」 熱線がウォルフ達を襲う。 盗賊頭 「よう、坊主。昨日はさんざんコケにしてくれてありがとうよ。」 ウォルフ「お前は、恐竜の森にいた……」 盗賊頭 「折角の獲物を素人に持ってかれたら、蛇の牙の名が廃るってもんだからな。 俺の全力を上げて、その娘っ子を奪いに来てやったぜ。」 ウォルフ「へっ! やれるもんなら、やってみるんだな。」 盗賊頭 「けっ、口の減らねぇガキだ。 行け! 魔導アーマー改」 ウォルフ「そんなポンコツマシンじゃ、この俺は止められないぜ。 まばゆき光彩を刃となして 地を引き裂かん! サンダー!」 シュゥゥゥゥゥ 天からの落雷が魔導アーマーを貫くかに見えたが、落雷は魔導アーマーの装甲に吸収される。 盗賊頭 「そんなチンケな魔法が通じるかよ! こいつはぶっ壊れて瓦礫の山に埋もれていた、帝国最強の機械兵、 ガーディアンの装甲で作られているんだよ。」 ウォルフ「魔法が駄目なら…… せいやぁぁぁぁぁっ!」 ウォルフはチョコボから飛び掛りて、上段から魔導アーマーを斬り付ける。 キィィィィィン! 盗賊頭 「おめぇ、アホか? 剣でこんな分厚い装甲が斬れるわけないだろ。」 ドスッ! ウォルフ「ぐはっ!」 魔導アーマーのアームが、ウォルフの鳩尾に深くめり込み、ウォルフは地面へと倒れ込んだ。 盗賊頭 「がっはっはっは! これでガストラの娘は俺様の物だな。 魔導の力があるお前も、リターナに引き渡してやるから、たっぷりと可愛がられるんだな。」 ウォルフ「く、くそ…… クララ、逃げるんだ……」 クララ 「ウォルフ、貴方は私を守ってくれた。 今度は私が、貴方を……守ります!」 盗賊頭 「ん? ガストラ仕込みの魔法かい? 面白れぇ、やってみなよ。 どんだけ強力でもこの装甲はぶち破れねぇだろうがな。」 クララ 「風、光の波動の静寂に消える時、氷河の結晶、我が力とならん……」 盗賊頭 「ん? 何かやけに寒くなって来たな…… それに魔導アーマーの周りがなんかキラキラしてんぞ。」 クララ 「ダイヤモンドダスト!」 盗賊頭 「何だとっ!」 魔導アーマー周囲の気温が一気に下がった事により、大気中の空気が氷の結晶となり、 魔導アーマーの機能を停止させる。 クララ 「ウォルフ! 今のうちに!」 ウォルフ「あっ、ああ、分かった!」 ウォルフはチョコボに飛び乗って、盗賊達の手から逃れたのであった。 ウォルフ「クララ、今のは魔法とは違うよね? 君は一体……」 クララ 「いずれ、お話します…… ですから……」 ウォルフ「うん、分かった。その時まで待ってるから。」 クララ 「ごめんなさい……」 二人がチョコボを走らせて、港町ニケアへと到着したのは、それからすぐの事であった。 |