インデックス
[ Scene 1 ]
[ Scene 2 ]
ここは1スレの786から798までを読みやすいように編集したページです。
episode1 魔導の少女ここはドマ城の北東、かつて恐竜の森と呼ばれた所。魔導の力が失われた事により、恐竜と呼ばれし竜達もその強大な力を失い、 人間達に狩り尽くされ、恐竜達は絶滅寸前の危機に追いやられていた。 しかし、魔導の力が甦り、本来の力を取り戻した恐竜達は、 我が物顔で森林を伐採していた人間達を、取り戻した圧倒的な力で森から追い出し、 恐竜達は再び森の支配者として君臨する。 しかし、高価で取引される恐竜の牙や爪、卵を求め、 恐竜の森へと忍び込む命知らずな者達が存在する。 そして今日もまた、命知らずの少年が、恐竜の森へと入って行く。 少年は一攫千金を夢見ているわけではない。 少年の興味を引くのは、未知の世界に対する探究心。 その少年の名は、ウォルフ=コールと言う。 ギャーーーーーーーーーース! ティラノサウルスが、牙をむき出しにしてウォルフを追いかけていた。 ウォルフ「ひぇ〜! まったくしつこい奴等だな。いい加減諦めろよ!」 ウォルフの泣き言が恐竜に分かるわけも無く、恐竜はズンズンと大地を揺るがせ、 執拗なまでにウォルフを追いかける。 ウォルフ「ちきしょー!やつの卵なんて食わなきゃよかったぜ。 こうなったら仕方無いな。いちかばちか…バニシュ!」 ウォルフは姿を消して木に登り、息を潜める。 恐竜達は突然姿を消したウォルフに戸惑うが、残っている匂いを手がかりに、 ウォルフが登った木の辺りをうろうろとする。 ウォルフ「(頼む、さっさとどっか行ってくれ……)」 心の中で強く念じながら、ウォルフは恐竜が過ぎ去るのをじっと待つ。 その願いが通じたのか、恐竜は自分の卵を盗み取った、ウォルフの追跡を諦めて、 自分の住み家へと帰って行った。 ウォルフ「助かった…… しばらく一休みするとしよう。」 ウォルフはそのまま木の枝に腰を掛けて、眠ろうと目を閉じる。 男の声「ちっ…どこに行った、あのガキ」 別の男の声「お頭、ここ恐竜の森ですぜ。もう諦めましょうよ。」 男の声「馬鹿野郎!あのガキをリターナの連中の所に連れて行けば、いくらになると思ってんだよ!」 別の男の声「しかし、命あってのお宝ですぜ、お頭」 別の男の声「お頭見つけました!こっちですぜ!」 ウォルフ「なんだ?あの連中は。」 ウォルフは木から木へと飛び移って、男達の後を追いかける。 ウォルフ「奴等が追いかけているのは、あの子か?」 男の声「やっと見つけたぜ…… さあ観念して俺達に着いて来るんだ。」 女の子「嫌です……」 別の男の声「お前には選ぶ権利なんてないんだよ!」 男の一人が女の子の手を掴んで、無理矢理引っ張っていこうとする、その時。 ばきっ! ウォルフは木の上から、男目掛けて飛び、顔を蹴り飛ばす。 別の男の声「ぐへっ!」 ウォルフ「おっさん、おっさん。嫌がる女の子を無理に引っ張って行くもんじゃないぜ。」 男「何だ!テメェは!」 ウォルフ「うーん、通りすがりの者だけど、この場合、どう見てもあんたらの方が悪者だろ?」 男「何を言う!このガキは魔女なんだよ!魔女をとっ捕まえて何が悪い!」 ウォルフ「あれ〜? 魔導狩りは全世界で禁止になったはずだけど?」 男「けっ、そんなのはお偉いさんで勝手に決めた事だろ。 今でも魔導狩りは続いてんだよ!しかもそいつはガス……」 ズゥン!ズゥン!ズゥン! ウォルフ「この地響きは…… おいっ、どこに行くんだ!」 男達に追われていた少女が、地響きのする方向へと歩いていく。 ウォルフ「あの子、何か放っておけないな……」 ウォルフは少し迷うも、少女の後を追って、地響きのする方角に走りだす。 ズゥン!ズゥン!ズゥン! 別の男「恐竜だ! お頭ぁ!とっとと逃げましょうぜ!」 男「ここまで追い詰めて逃げられるかってんだよ!」 別の男「もう諦めましょうよ!ほら、こいつも連れて帰らないといけませんし!」 男「ちくしょう!分かったよ!」 男は倒れている仲間を担いで、森の出口へと走り出した。 ウォルフが少女に追いつくと、少女は恐竜の真正面に立っていた。 ウォルフ「おいっ、何やってるんだ!逃げろっ!」 シギャー! 恐竜が叫び声を上げ、首を大きく振って、その巨大な牙で少女を引き裂くかと思われた刹那。 少女「そう…… あの人に大切な卵を食べられてしまって怒っているのね……」 恐竜の牙は、少女を引き裂かずに、少女の目の前で止まっていた。 少女「貴方達も、生きる為に鳥や獣を食べるでしょう? あの人も生きる為に仕方なかったの。だから、許してあげて。」 少女は優しく、眼前に迫った恐竜の顔を撫でると、 牙をむき出しにしていた恐竜は、口を閉じて、少女のされるがままになる。 少女「ほら、貴方もこの子に謝って。」 ウォルフ「えっ…えっと、ごめんな。勝手に卵食べちゃって。」 少女「お願い、許してあげて。」 恐竜はウォルフの方を向いて、一度だけ雄たけびを上げると、再び自分の住処へと戻って行った。 少女「仲直り出来て、良かったですね。」 ウォルフ「あ、ああ…… そうなのかな。 所で、君の名前は?」 少女「私の名前はクラウディア。クラウディア=マールバッハ=ガストラ」 ウォルフ「ええっと、俺の名前はウォルフ=コール。」 クラウディア「素敵なお名前です……」 ウォルフ「あ、ありがとう……(何か、間が持たないな……)」 クラウディア「…………」 ウォルフ「お、俺の事ずっと見つめてるけど。ど、どうかしたの?」 クラウディア「腕……」 ウォルフ「腕?」 クラウディア「貴方の右腕、怪我しています。」 ウォルフ「ああ。さっき、あのおっさん達を追ってる時、枝に引っかかったのが傷になったかな? 放っといても直るから、気にしないでいいよ。」 クラウディアはウォルフの右腕に両手を重ね、目を閉じて詠唱を始める。 クラウディア「清らかなる生命の風よ 失いし力とならん…… ケアル。」 ウォルフ「傷が塞がっていく……(この娘、本当に魔導の力を持っているんだ……) ありがとう、クラウディア。」 クラウディア「クララって呼んで下さい。」 ウォルフ「それじゃあ、俺の事もウォルフでいいぜ、クララ。 さて、こんな物騒な森は早く抜けるとしようか。」 クララ「それは駄目。」 ウォルフ「えっ?」 クララ「私、呼ばれているんです。」 ウォルフ「呼ばれている? 何に?」 クララ「分かりません…… でも、この森にある何かに呼ばれているんです。」 クララは何かに導かれるように、森の中へと進んで行く。 ウォルフ「ちょ、ちょっと、待ってくれよ!」 恐竜の森、最深部 クララ「どうやら、私を呼んでいたのは、あれみたいです。」 クララが指を指した方向には、泉が沸いていて、 泉の中心部からは、静かな光をたたえるクリスタルが浮かんでいた。 クララ「貴方が私を呼んでいたのね……」 クララがクリスタルに近づこうとすると、大きな影が、クリスタルの前に立ちはだかる。 ウォルフ「あれは…… ブラキオレイドス! 絶滅したはずじゃなかったのか?!」 ブラキオレイドスとは、元々少数の恐竜族の中でも、その数は更に少ない種族で、 伝説の八竜以上の力を持つとまで言われていた恐竜だが、 魔導の力を失った事によって、人間に狩りつくされていた。 クララ 「この子…… 誰かに操られている!」 ウォルフ「冗談じゃないぞ…… 親父と母さんだって手を焼いた化け物に、どうやって戦えば……」 グォォォォォォォ! ブラキオレイドスが大きく咆哮を上げると、辺りの空気はビリビリと震え、 ブラキオレイドスの周りに魔力が集まる。 ウォルフ「これは…… 立体魔方陣。この魔法、一度だけティナさんが使った所を見た事がある。 そう、これは…… 究極魔法アルテマ!」 ブラキオレイドスが再び咆哮を上げると同時に、立体魔方陣から一気に魔力が開放される。 ウォルフ「魔封剣!」 キュイーンという甲高い音と共に、ウォルフのかざしたエンハンスソードに、 アルテマの魔力が吸収されて行く。 ウォルフ「はぁ…… はぁ…… 俺の魔封剣でも、なんとか防ぎきれたか。 でもこれ以上は、母さんのエンハンスソードが持たないな。」 グォォォォォォォ! 必殺のアルテマを封じられたブラキオレイドスだが、 ウォルフの身体と剣は、次のアルテマに耐えられない事を見越して、 再び魔力を集中させる。 クララ 「ウォルフ……」 ウォルフ「そんなに心配そうな顔をするな。クララの事は、俺が必ず守る!」 クララ 「うん、ウォルフ。」 ウォルフ「来るなら来い! 何度でも封じてみせる!」 ブラキオレイドスが、再びアルテマの魔力を開放しようとしたその瞬間。 ズゥゥゥゥゥゥン ブラキオレイドスの首が、侍の刀によって切断され、地面へと落ちた。 カイエン「お久しぶりでござる。お怪我はなかったでござるか? ウォルフ殿。」 ウォルフ「カイエンさん! どうしてここに!」 カイエン「理由は、そこの少女と同じでござるよ。」 クララ 「貴方も、クリスタルの声に導かれて?」 カイエン「いや、拙者では無く、こちらにおわす、我が君が力を感じ取ったのでござる。」 ルウ 「久しぶりだね、ウォルフ。そして始めまして、クラウディア=マールバッハ=ガストラ。 私はドマ王国の王ルウ=パトリック=エルフリート=ドマ。 良かったら、覚えておいて欲しい。」 クララ 「……何故、私の名前を?」 ルウ 「大崩壊のきっかけを作った、ガストラ皇帝、唯一の忘れ形見。 そして今、反魔導共和国組織、リターナが血眼になっている有名人を、知らない訳が無い。」 ウォルフ「いくら王様とカイエンさんでも、クララは渡せない!」 ルウ 「ふぅ。私も信用が無い物だな、カイエン。」 カイエン「いやいや、これが青春でござるよ、我が君。」 クララ 「ウォルフ、落ち着いて。この人達は敵じゃない。」 ルウ 「そうだぞ、ウォルフ。魔導の力を持っている物を処刑しなくてはならないというのなら、 私はこの少女よりも先に、カイエンを処刑しなくてはいけない。 私にそんな事が出来ると思うか?」 ウォルフ「ごめん…… ちょっと気が立ってたみたいだ。」 ルウ 「気にするな。それだけ大切なんだろう?この娘の事が。」 ウォルフ「そ、そんなんじゃ!」 カイエン「う〜む。青春でござるなぁ……」 ウォルフをからかう二人を横目に、クララは泉に入り、クリスタルへと近づいて行く。 クララ「私を呼んだのは貴方ね。何を私に伝えたいの?」 ぱぁぁぁぁっ! クララがクリスタルに触れると、クリスタルは眩い光を放ち、 四人が目を閉じると、それぞれの頭の中へ、映像が流れ込んでくる。 ウォルフ「何だ、これは……」 ルウ 「これは…… 今よりも機械文明が発達している世界の映像なのか?」 カイエン「こっ、これは瓦礫の塔で戦った三闘神でござる!」 クララ 「これは、クリスタルに記憶されている、この世界の歴史。 人はまず火、風、土、水のクリスタルの力を利用して、機械文明を発達させました。 しかし、発達しすぎた文明は、己自信を滅ぼす力となり、人類は一度滅亡の危機を迎え、 再び0からの出発が始まったのです。」 ルウ 「次に人は機械でなく、自然と一体となり、魔法という力を手に入れ、再び繁栄の時を迎えた。 魔法という力が生み出された時、しかし異世界からやって来たのか、 魔法と一緒に生まれたのか分からない、三闘神が天地を崩壊させかねない力を持って、 争いを始めた。これは、魔大戦の事だな。」 ウォルフ「4つのクリスタルは、世界の崩壊を阻止する為に、今俺達が見たような映像を 三闘神に送り込んだ。そして世界のバランスを保っている、自分達の機能を停止し、 三闘神に世界の調和を委ねる事によって、争いを終わらせようという賭けに出た。」 カイエン「しばらくしてクリスタルの思惑通り、三闘神は争いを止めた。 そして、三闘神は互いを封じる事によって、クリスタルに変わる、新たな世界の礎となった。 こうして三闘神は、本当の神となった。 しかし、ケフカが三闘神の封印を破り、力を奪って世界のバランスを狂わせた。」 クララ 「だけどそのケフカも倒されて、三闘神の力が完全に消えて、 世界の調和を保つ者が無くなった今、貴方達、クリスタルが再び復活したのね。」 ルウ 「私とクラウディアを呼んだ理由は、他のクリスタルの発見と、 そのクリスタルが、何者かに利用されないよう、クリスタルを守って欲しいという事だな。 水のクリスタルよ。」 ウォルフ「それじゃあ、クリスタルを探す役目は、クリスタルに呼び出されたクララと、 世界で一番のトレジャーハンター(になる予定)の、この俺が適任だな。」 カイエン「しかし、その娘を旅に連れて行くのは、いささか危険でござらんか?」 ウォルフ「クララは俺が守る!」 ルウ 「格好つけるな。ただ一緒にいたいだけなんだろう?」 ウォルフ「な、な、何を!」 クララ 「ウォルフは私と一緒にいるのが嫌なの?」 ウォルフ「う…… そ、そんな事、これっぽっちも無いぞ!」 クララ 「良かった……」 ルウ 「ははは、一本取られたな、ウォルフ。 しかし、他のクリスタルを探すと言っても、何か手がかりはあるのか?」 クララ 「南の方角に、力を感じます。」 ルウ 「南と言うと、魔導共和国本土かな?」 クララ 「だと思います。」 ウォルフ「共和国本土に戻るか…… だけど、蛇の道はリターナが占拠しているからな。 クララを連れてじゃ蛇の道から帰る事は出来ないぜ。」 クララ 「ごめんなさい……」 ウォルフ「ク、クララの事を責めてるんじゃないって! 悪いのは未だに魔導狩りを続けている、 リターナの連中なんだからさ。」 カイエン「それならば、ニケアからサウスフィガロに渡ると良いでござるよ。 エドガー王ならば、何か力を貸してくれるでござろう。」 ウォルフ「エドガーのおじさんか…… クララを連れていくのはちょっとな……」 カイエン「おや? クラウディア殿を守りきる、自信がないでござるか?」 ウォルフ「そ、そんな事あるもんか!」 ルウ 「まあ、ビックブリッジの通行許可は出しておくから、 早くサウスフィガロに渡った方がいい。 恥ずかしい事だが、ドマは帝国に一度滅ぼされた経緯もあって、 魔導狩りを禁止しても、なかなか止む気配はなくてな。 色々とクラウディアには、住み辛い場所だと思う。」 ウォルフ「うん、そうするよ。王様、カイエンさん。色々とありがとう。」 こうしてウォルフとクララのクリスタル探求の旅が、今、幕を開ける。 キャラクター編ウォルフ=コール主人公候補。ロックとセリスの息子で、ロックの能力(通常攻撃にぶん取る効果が付いている)と、 セリスの能力(魔封剣)を共に受け継いでいる。 但し、魔力はそれほど高くない。 口癖は親父譲り。 クラウディア=マールバッハ=ガストラ ヒロイン候補。謎多きガストラの娘。愛称はクララ。 ネタバレすると、魔導の力を手に入れたガストラが、むらむらっと侍女に手を出して生まれた子供。 よって生まれながらにして、魔導の力を持っている。 その侍女は自分に子供が出来た事を隠す為、ガストラ帝国を抜け出し、クララを産む。 お母さんは愛情たっぷりに娘さんを育てた為、ガストラのような野望の塊の娘とならず、 心優しい娘さんに育ったようだ。 カイエン ドマの侍大将として、ドマ王の信頼厚いナイスミドル。 マランダの娘さんと文通を再開した模様。 但し、今でも独身で、ちょっとえっちな本をまだ持っている。 ケフカ打倒後は、ドマの復興に全力を注ぎ、民衆から慕われている。 ルウ=パトリック=エルフリート=ドマ 出すかどうか迷った、オリジナルキャラ。 エドガーをラスボスにという声がいくつかあったけど、 個人的にはエドガーは、やっぱり最後には一緒に戦って欲しいと思ったので、その身代わりとなる人。 (って、ラスボスばらしちゃっていいのか!?) 設定としては、地方を遊歴していた、ドマ王家唯一の生き残りで、 ドマ城が帝国に攻められていた際、城に戻ろうとしたが、少しだけ、戻るのが間に合わずに、 ドマ城は帝国に攻め落とされた。 侍としての能力は、カイエンに引けを取らない。 大崩壊後、ドマ城の北で生き残っていた、ドマの住民達をまとめあげ、モンスターから守った。 ケフカが倒れた後、カイエンと再会して、王位に就く。今の所は、とってもいい人。 解説 国家、組織編ドマ北と西側に橋を架け、大陸と孤島であるドマ城が結ばれている。 蛇の道と繋がっている世界最大級の西側の橋は、ビックブリッジとも呼ばれている。 その版図は、ドマ城のある島と、恐竜の森のある、大陸の北側。 獣ヶ原には不干渉。 反魔導共和国組織 リターナ 指導者は今の所不明(考えていないだけとも言う) 魔導の力を持つ者を憎み、徹底的に弾圧する組織で、 本拠地は蛇の道にある、元狂信者の塔。 主にガストラ帝国に滅ぼされた国の者達で構成されている。 蛇の道を魔導の力を持つ者が通る事は、断頭台へ続く道を歩く事に等しい。 |